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一.霊媒との出会いと霊媒師になるまで

私は、十八歳の秋に美容師を目指して宮崎から上京しました。
美容師の仕事は、順調に進み、東京で美容室を持つまでになり、若いうちに結婚もして子供も三人授かりました。

ただ、そのころは、占いなどにまったく興味もありませんでした。

厳しい修行時代を終えて、自分で開店した美容室も順調に伸びていき二店目の出店を控えたある日、知り合いの占い師さんから 「三年でつぶれるから二件目は止めなさい」と言われました。
それが私と占いの最初の出会いです。
「これだけ順調に運んでいる中で、二件目が潰れるなどと言うことはありえないですし、もう出店も決まって準備も終わっていますから」 とアドバイスを無視してオープンをしました。

ところが思ったようにいかず、3年後言われた通りの結果を迎えました。
またその翌年には、追い討ちをかけるように、田舎(宮崎)で暮らす父を癌で亡くすことになりました。

これは、後で母親に聞いた話なのですが、父は病院での検査結果がすぐにはでなかったそうです。
ヤキモキしているところに、親戚の紹介で近所の霊媒師さんに見てもらうことになりました。
「どこも悪くないし、たぶん疲れがたまって食欲がなくなっているからそのうち良くなるから大丈夫」と言われたそうです。
しかし、その二ヵ月後にスキルス性のすい臓癌で67年の人生を終える結果となりました。

そんな話も聞いていましたので霊媒師は、インチキだと思っていました。
その後、私の借金も増え、返済もできず途方にくれた私は、ある日覚悟をして3年前に私のお店が潰れるとおっしゃった占い師のアドバイスを求めました。
するとその占い師さんは、 「馬鹿な考えは止めて、半年間だけ現状維持をしなさい。どこからか良い話が来てまた、お店を持つことができるわよ」 そんなことはありえないと思いながらも、今すぐでも半年後でも差ほど変わりはなく、その占い師さんに言われたことを今度は、素直に聞きいれることにしてみました。

それから五ヵ月ほどしてからのことですが、占い師さんのおっしゃった通りある方からありがたいお話をいただき、九ヵ月後には、また美容室をオープンできることになりました。

三件目のオープン前になり私の過去の状況を知っていて心配されたお客様が 「お店に霊がいるとよくないよ。私がお祝いで頼んであげる、霊媒師に店とあなたをお祓いしてもらいなさい」 と言われ数日後に霊媒師(後の師匠)を連れて来られました。
店内のお祓い(そのときには、とてもインチキっぽく見えました)が終わり、その霊媒師さんが帰り際に、 「君も見てあげるからそこに座りなさい」と言われました。
まったく信じていなかった私は、
「いや、私はいいです」
「とにかく座りなさい」
 お客様の手前もあって、仕方なく座った私を見ながら、
「なぜ貴方が私のことをそんなことがわかるの?」
 と言うくらいのことを知っていました。そして帰り際に、
「お父さん成仏してないね」
と言い出しました。

さっきまですごいと思っていたこの人は、急に何を言っているのかと思い
「そんなはずはありません」
と、強い口調で答えました。
「まあ良いよ。気になるようだったら僕の家においで」
と名刺を差し出して、店を後にされました。

私は神様や霊を信じないわけではなかったのですが、父が見てもらった霊媒師さんの件もあり、絶対にインチキだと思っていたころの霊媒との出会いです。
ところが、タイミングでしょうか
「霊が見えて辛いから霊が見えなくならないかな」
と、とても悩んでいた友達にたまたま相談をされました。

私も父が成仏していないと聞かされていて少し気にしていたところだったし、決して嫌いでない話だったので
「これはチャンス、インチキだったら種明かしができるし、もしも本当だったら友達も助かるし親父も供養できる」
と考えたところから私の霊媒師の道がはじまりました。

初めて師匠のところにお伺いをした日、色々な話を聞かせていただき。様々な体験をさせていただいているうちに
「先生、親父を成仏させてください」
と信じていなかった私がお願いをしていました。
ただ当時は、2軒もお店をだめにして借金も多かったので
「お金がないので、僕にできることで何かお返しできませんか?」
とお尋ねしたところ
「君は、美容師だね。僕がもう来なくて良いというまで毎月一回自宅に来て僕の髪の毛を切ってくれるか?」
と言うお返事をいただきました。
願ったりかなったり、当時は美容師、そんなことで済むのならばありがたいと思い即答しました。
「喜んで通わせてください」
でも、この時点では、私が霊媒師になるなんて考えも及びませんでした。

師匠のお宅に通うようになって、色々なお話をお伺いする中で、最初に半分冗談で聞いたことがあります。
「先生、僕も霊媒師なんかできないですよね」
すると先生は、
「君には霊媒師は、無理だね」
といわれました。
でも、そうおっしゃりながらもお宅にお伺いすると、色々な神様や霊の話されました、正直、私は、うまく理解できなくても楽しんで通っていました。
本当に、最初は、まったく何も感じず、言われていることも理解できませんでしたが、回数を重ねるにつれて何となくわかってきたのが正直なところです。
通い初めて一年ほどすると、まったく自信は無かったのですが少しずつ色々ななことがわかるような気がしてきました。
今考えるとあれが修行だったのですね。
先生に、君には無理だねといわれた意味は後で理解しました。
私は性格上、できるよと言われてしまったら、あんなに真剣にはやらなかったと思います。

ある日のことです。通い始めてから約三年、たくさんのことを覚え、神様とか霊の存在が良くわかるようになってきて、とても面白くなってきた矢先に突然、
「もう来なくてもいいから」
「いや、もっと色々なことを覚えたいのでもう少し通わせていただいてもいいですか?」
「後は、実践でもっと修行しなさい」
と言われ、突然のことでしたが、仕方なくご自宅を後にしました。
それから霊媒師になるまでの道は無我夢中に突っ走っていたように思います。
ところが、それと並行するかのように順調だったはずの美容室がまた空回りを始め、更にプライベートでも離婚することになり、さまざまな辛い経験をしていきました。

それでも食べていくために美容師を続けながら、鑑定とまでは行きませんがなぜか多くの方々と接する機会をたくさんいただきました。
ただ、その間は、現在と違い一日に3人もお会いすると強烈な睡魔に襲われて場所を問わずに寝てしまったり、お祓いをしていて霊に負けてしまったり、具合が悪くなってしまうことも頻繁に起こりました。

また、鑑定に対しても現在のように慎重ではなく興味本位や思い込みで鑑定してしまい散々な結果になったようなこともありました。
でも、その甲斐あってか、この仕事で生きていくうえでの辛さ、厳しさ、喜びと同時に責任や意義を感じるようになっていきました。

講釈を並べてみましたが、現在では、美容師との両立は難しく三十年近くやってきた美容師を辞め、霊媒師の仕事一本になりました。

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